Audi Ultimate Collection2010へ行く!
恵比寿のウェスティンホテルで行われたAudi Ultimate Collection 2010。
デザイナーの和田智氏のトークセッションが聞けるということで応募したところ、
この招待状が届いた。カッコイイ!!
Audiは昔から好きな車で憧れであったが、
今回登場したA5スポーツバックのデザインには大きな衝撃を受けた。
シングルフレームと呼ばれる特徴的かつ大胆なフロントグリル、LEDライトのアイライン
そして優雅な曲線が幾層にも折なってボディラインを構成している。
ハッチバックで居住性を確保しつつもクーペの曲線を踏襲しているあたりは秀逸。
無駄をそぎ落としながらもエレガントなスタイルはアスリートの肉体美を彷彿させる。
どの角度から見ても美しい。
建築に例えるなら安藤忠雄氏の光の教会や桂離宮あたりか・・・
日本人であるが故のデザインとでも言うべきだろうか。
そんなデザイナー和田智氏のトークセッションは
畑は違えど同じデザインに関わる小生にとって非常に興味深く、また共感するものであった。
司会進行は別所哲也氏。
古きを重んじながらもA5のデザインをBREAKTHROUGHしてくれと要望されたという和田氏。
BREAKTHROUGHするにあたり顔つきを変化させつつ、
ロゴにも反映されている”quattro(クアトロ)”というAudiのアイデンティティを
表現したいというのが狙いだったらしい。
和田智氏が実際にAudi首脳陣に行ったプレゼンテーションを再現しながら説明が始まる。
ボディサイドの”ショルダー”と呼ばれる部分にテープを貼る和田氏。
フロントからリアにかけてのこのラインは3つの曲線で構成されていて動物の疾走する肉体の
ラインをイメージしているらしく、このショルダーラインが織りなす足廻りの構成が
Audiのアイデンティティである”quattro(クアトロ)”を強調しているらしい。
目を瞑ってボディラインを触ることで車とコミュニケーションをとり、
違和感を覚える箇所はデザイン的な問題があるのだという。
自分の五感に頼るデザインへのアプローチはどの世界も同じなようだ。
このほかに欧州におけるデザインへの考え方、取組など非常に共感するトークが面白かったが、
最後の言葉が重かった。
「民族性の違う外国で挑戦する人達は皆、何かを捨ててここへ来ている。
自分は日本での生活を捨ててきたのだ。そういう覚悟をもって挑戦している。」
う~ん、デザインを昇華させ、成功した人間の言葉に心打たれる。
その覚悟がすばらしいデザインを生み出すのだろう。
それにしても同業者や関係者ではない一般の場で自分の思想を思う存分話せるというのは
デザイナーにとってはこの上ない幸せな時間だと思う。
この会が最後のトークセッションと言うこともあるが、感涙したのか少し目を潤ませていた。
そんな和田智さんのピュアな一面も感じることができた。
PS.AudiのレースマシンのR8も展示していた。
こちらもシビレるデザインだが、およそ¥20,000,000ナリ。
当たり前だが手は出ない、眺めて楽しむデザインかな。
いやはや良いデザインに触れることは何度味わっても心地よいものだ。