大工の技
「鴻巣の曲り家」がいよいよ着工。
といっても現場ではなく”刻み”と言って柱や梁などの材木を作業場で加工することから始る。
最近は「プレカット」と言って機械で全ての材木を加工するのが主流。
大工さんは現場で組み立てるだけである。
だが、今回は全て大工さんの手加工。
今ではプレカットのせいで”刻み”ができない大工はザラであるから、いまどき珍しいくらいだ。
これはこれですごくいいことなのだが、こちらはチョッと調子が狂う。
それはプレカット図。
普段ならCAD図面で事細かに情報が記載されており
それを読み込めば図面チェックは完璧にこなせる。
だが、そのCAD図が”板図”というものになって出てくる。
昔ながらの大工の図面。
ハッキリ言ってプレカット図より情報量は乏しい。
大工さんが判ればいい図面なわけだから仕方が無いのだが、
監理者としてはやはりチェックしなければならない。
この辺りは大工さんへのヒアリングでカバーするしかない。
だが、不安要素ばかりではない。
むしろ建設会社が手加工を希望してきたときは頼もしささえ感じたし、
匠の技への期待感もあった。
そしてその願いは叶う。
「大輪継ぎ」という梁と梁を繋ぐ加工法。
どのように繋がるかは実際に建てた時にお見せするが、この細かい細工を見て期待感が
グッと高まり、と同時に経験豊富であることを否応なしに知らしめられた。
これからの監理業務、大いなる期待感と謙虚な気持ちで向き合っていきたい。